飛行機に乗って空から東京湾を見たんです。
大小の船がいろんな方向に向かっていて、しかも多い。

輻輳(ふくそう)海域。

もう漢字がごちゃついてる。
文字の見た目のとおり、混み合っているエリアのことです。
東京湾・伊勢湾・瀬戸内海。たしかに混んでそう…!
でも知らなかった。こんなに船が多いなんて。

左右に行き交っている船は車間(船間?)距離も十分に見えますが、斜めから来ている船もいるし、どうやら点のように見えている小船もいる模様。
ちょっとカメラレンズをズラしても船が映る、必中の領域展開状態です。
安全に船を1隻走らせることは、 思っていたより難しそう。

「誰が・何の目的で・責任を持って」走らせるかを国が見ている。

国内で貨物を運ぶ船。

一定の大きさ以上の船で、事業を行う場合は 国土交通大臣の「登録」を受けなければいけません。 資金計画や、誰を乗せるかという計画まで申請する必要があるようです。

人を運ぶ定期航路のフェリー。

こちらは航路ごとに「許可」が必要。 安全のためのルールや責任者も決めて国に届け出ます。離島の人たちにとっては、とても大切な交通手段です。

つまり「どんな目的か、安全に走らせられるか」を国に見られている乗り物なんですね。
それだけ、船を動かすことには慎重であるということではないでしょうか。

道路はないけど、ルールはある。

海には道路がないので、白線も中央分離帯もなく信号もありません。 車の運転で私たちが頼っているものが全部ないです。
ですが、海の道路交通法は「海上衝突予防法」という、世界共通のルールがあります。

海は国境をまたぐのでルールは世界共通!なんかかっこいい。

ちなみに船は右側通行。
正面から船同士が近づいたら、お互いに右へ避ける。
進路が交差するときは、相手を右に見ている船のほうが避ける。

夜は右舷に緑、左舷に赤のライトを灯し、色で「あの船はどっちを向いて、どう動いているか」を読むんだそうです。

信号機の代わりに、お互いの動きを読み合うのが海のルール。
「読む」って、なんかカッコい。合気道か。

船は、急に止まれない。

まあ、車もそう言うよね、って思ったそこのアナタ!ちゃいますよ!

車には道路との摩擦がありますが、船は惰性でずっと進み続ける。キロメートル単位で進んでしまうこともある。
さらに厄介なことに、船はスピードを落とすと舵が効きにくくなるんだそう。
だから海の運転は、 先を読んで早め早めに手を打っていく「予測」の世界なんだそうです。

またでた。「読み」のカッコよさ。藤井聡太か。

前を見て運転するんじゃあない。 未来を見て運転するんだ。(CV.高橋一生)

着岸は数センチのチーム戦。

大型船の着岸は、多くの場合、船長ひとりの仕事ではありません。

港には水先人(パイロット)という専門家がいます。 その港の地形、潮の流れ、混み具合を知り尽くしたプロ。船に乗り込んできて、船長に代わって操船の指揮を執る。
そしてタグボート。 小さいけれど馬力のある船が数隻がかりで、 巨大な船を押したり、ロープで引いたりして、岸壁へ導いていく。

天気、もある。

最後にもうひとつ。

波、風、うねり、潮の流れ、霧。
海はそれ自体が動いていて、船はその上に浮かんでいる。
さっきの毎秒数センチの着岸は、さらに難易度が上がる。

気象を読むことも、運転の一部。

この「考える100倍難しいこと」を、 機械に任せられるようにする——それがMEGURI2040の挑戦。 多くの企業・団体が必要だった理由が、少し理解できた気がします。

次回は「島国の物流は、こんなに海に乗っている」という話。
コンビニに並んでいるものの、実はけっこうな割合が船で運ばれてきている。
そのボリューム感を、数字を交えて見ていきます。


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出典・参考
■ 内閣府 規制改革・民間開放推進会議「海上運送法、内航海運業法」
■ 一般社団法人日本海事代理士会「貨物船事業」「旅客運送の手続き」
■ 海難審判所「海の交通法規入門」「夜の灯火(その1)」
■ 日本水先人会連合会「水先人の仕事」

※本記事は公開情報をもとに、生活者の目線で再構成したものです。事実誤認などがあれば、ぜひ教えてください。直します。